命の重さ | 小姐的不夜城故事

命の重さ

去年の末に重慶市で交通事故があり3名の14歳の少女が命を落としました。中学校からの帰りにオート三輪車に乗っていて交通事故に遭い、短い人生に幕を閉じました。その後このオート三輪のミニバスを経営している重慶鋪金公路運輸有限公司と賠償金の交渉をした所、当初1名あたり20万元の賠償をすると約束していたのが、1名の何源という少女のみ5万8千元しか払えないと通達され、再度説明を聞きに言った両親はその説明に驚愕したのです。


この何源という少女、重慶の街で育ち、他の二人と同様に都市で教育を受けてきました。ただこの少女は農民戸籍であるという事が、今回の悲劇の始まりだったのです。中国には、農民戸籍と都市戸籍という戸籍の違いがあり、過去に農民の自由な移動を避ける為に農民戸籍の者が都市で自由に仕事を探す事が出来ませんでした(もっとも改革開放前は全て国によって就職が振り分けられていたのですが)。その制度を今も引きずっている中国はこれだけ労働市場が開放されているにもかかわらず、法律上は未だに厳格な区別を保っているのが現状です。


そして今回の賠償の基準となる法律は2004年5月1日に施行された、《最高人民法院規定の人身損害賠償案件に対する法律適用問題の解釈》という法規に、(被害者死亡の賠償の場合は居住する場所の平均年収に対しての最高20年分とする)という規定があり、今回のケースでは都市戸籍を持つ2名は重慶市民の平均年収から20万元が妥当とされ、農民戸籍の何源さんは当初5万8千元しか賠償できないという話になったという事です。


中国の共産党は抑圧された農民が主体になって大きくなったと思うのですが、その農民が今共産党政府の差別を受ける状態になっている事は大きな社会矛盾だと思います。この問題も早急に改善しないと政府の存続も怪しくなってくるかと思います。