夫婦でAV | 小姐的不夜城故事

夫婦でAV


2002年8月18日深夜、陝西省延安市宝塔区の公安に一般市民からのタレコミで、ある新婚夫婦が自宅でアダルトDVDを見ていると通報があり、新婚宅に押し入り、AVDVDとデッキ、テレビまでもが差し押さえられ、更に公務執行妨害で逮捕された夫は公安に引っ張られ、更に1000元の保釈金まで払わされる事件が発生しました。


その夫の保釈後、新聞などのメディアでこの事件が話題になり、床屋やサウナでの売春が一般的に暗黙の了解となりつつ有る中、果たして家庭内にて夫婦でAVを観る事が、公安に逮捕されるほどの罪になるのか?という事で法曹関係者や有識者の間で論争になりました。


そしてこの件も忘れかけていた10月21日にまたしても突然公安がやってきて、この夫を再び‘公務執行妨害’の取調べの為に逮捕し、12月初めまで拘留されてしまうのです。そして最終的には公安の方が起訴を取り下げるのですが、これを不服としたこの夫婦は弁護士にこの件についての冤罪の責任を追及する事となり、最終的には延安市宝塔区公安局紀検委書記の公式謝罪と公安から29137元の損害賠償金を受け取る事になりました。


私の友人の話では1980年代の中ごろ、上海で日本製のビデオデッキが香港経由で一般家庭に普及しだし、それに伴いAVも入ってきて、そのころよくタレコミから公安の手入れがあって、手入れを受けた場合は、ビデオデッキの没収(当時年収の2倍ぐらいした)と、数日間の拘束があったそうです。それより以前文革前では、上海の一部のお金持ちが闇でエロ本を売っていて、所持がばれると最悪死刑になったということです。


それが今では、AVの何が悪いのだという世論に負け、しかも警察が冤罪を認めて賠償金まで支払うのですから、世の中も変われば変わるものです。中国は1995年1月1日より《中華人民共和国国家賠償法》が施行され(これ以前は冤罪も糞もなかった)、2004年までに件数で3167件、金額で5819万元の賠償金が支払われています。この法律が施行されてから、あらゆる面で公安の紀律が緩んだのは否めないかと思います。そして今まであまり力の無かった弁護士が急速に発言力を増してきたのにも一致するかと思います。


こうしてやっと普通の社会に戻りつつある中国ですが、賠償を恐れ、99.9%疑わしくても動かない公安では違った意味で恐ろしい社会になっていくような気がします。