薄幸の小姐 | 小姐的不夜城故事

薄幸の小姐

ある陝西省の宝鶏市という所の農村から甘粛省蘭州に出稼ぎに出てきた夫婦が、お金に行き詰り、今年の4月初めから奥さんが床屋に勤めに出たのですが、働き始めてすぐに警察に捕まり女子教育所の塀の中に4ヶ月間入れられ、出てきてすぐに、またお金が無いと、床屋で働き始め、それから2週ほどで客の男に絞殺されるという事件が有りました。

事件の起きた蘭州の床屋             一回仕事を終えるごとに旦那に手紙を書いていた

この事件は当初、この奥さんが塀の中で4ヶ月間毎日綴っていた、旦那への日記で有名になり、旦那への熱烈な愛情と、貧しさ故に身体を売ろうとした自分自身の罪悪感との葛藤を書いた文章が人々の心を打ち、一人の売春婦になろうとした女が、どのような心境で現実と向き合い、教育所で過ごしてきたのかを知る事で“売春に対しての人々の考え方をもう一度世間に問い直す”形になりました。

日記にはあなたを愛しているとびっしり     本当に心から愛していたのだろう

殺人を犯した方の男も、リヤカーで物を運搬する仕事に就いていたのですが、貧しさゆえに恋人もできず、以前たまたま行った床屋で200元を騙し取られ、更に暴行を受けるという事があり、床屋で働く女なら誰でもいいから“殺してやりたかった”という、こちらも歪んだ心が爆発してしまった、とても悲しい話だと思います。


この奥さん実際には3週間ほどしか床屋で働いていないのですが、4ヶ月間も塀の中に閉じ込められ、出てきてもすぐに殺されてしまうという幸薄い小姐なのです。ここで社会が問題視したのは、増え続ける売春に対して、身体を売る以外に道が無いと感じている貧困層(しかしここで言う貧困はご飯も食べる事が出来ないという貧困では無く、ご飯は食べる事が出来るが、富裕層に比べ貧しいと感じている人々を指す。農村部でも貧富の差は広がり始め、一昨年は貧困層と富裕層は3.7倍ほどの所得格差だったのが、現在では5倍以上に広がっているとの指摘が有る)が確実に増加している事と、こんなに普通に旦那を愛して止まない奥さんが、それでも身体を売るのかという驚きでした。しかも教育所に4ヶ月も入って出てきたにも関わらず、旦那への愛をあれほど語っていたにも関わらず、また床屋に舞い戻って行きずりの男に抱かれている事にも、やはりお金がものを言う社会なのだと改めて思い知らされました。


我々男側は買春する方ですが、どうしてするのか(結婚して子供もいるのに)と言われてもなかなか答えが出せないので、売春する女側にどうしてするのかと言うこと事態陳腐な話なのですが、それでもここまで熱烈に人を愛する事が出来て、どうして売春に走ってしまうのか?女性の心理を一度聞いてみたいと思います。