開発区の功罪 | 小姐的不夜城故事

開発区の功罪

河南省の開封という街に河南省開封経済技術開発区という開発区が開封市の西南に1992年に作られました。中国の沿岸地域から始まった経済特区制度に乗り遅れまいと、中西部の都市のあちらこちらにこうした開放区が作られたのですが、当時は交通のインフラ整備もまだまだ出来ておらず外資系で進出するにはかなりの勇気がいるし、多くのこうした開発区では、税金面の優遇、土地の無償提供など、あらゆる優遇政策を講じてもなかなか企業が集まらなかったものです。

河南省開封経済技術開発区、無駄な土地の使い方が1目で分かる


しかしここに来て鉄道、高速道路、空港などが整備されてきて、しかも中国の各都市へのハブ的な意味合いで注目されだし、食品会社や日用品、化学、機械、などの会社も徐々に集まり始めました。


こうして開発区に企業が集まりだすと、今度は雇用が生まれ、お金が回りだし、景気が一気に良くなっていくのですが、問題はもともとその場所で農業を営んできた農民たちの処遇です。この開発区はもともと開封の町外れの開封県廟村、黄河新村の2村が中心となって開発された所ですが、こうした急激な地域開発により、村の幹部が急に景気が良くなり汚職に手を染めるケースが後を絶ちません。


今回は黄河新村の党書記と村役場の主任が都合40万元を横領して、自分たちの為に保険を買っていた事が村民に明るみになり、検察院に告訴したものの取り上げてもらえず困っている話です。


村民は村が開発区として発展すれば当然各種税金などで村と村民が潤う事を歓迎していたのですが、そのお金を村の幹部が1人占めしてしまう構造がそこには有ります。村の幹部は‘俺が苦労してここに開発事業を引っ張ってきたのに、個人的見返りが無いんじゃバカみたい’的な考え方になっていて、当然その地域では王様気分なので、じゃんじゃん自分の為に村のお金を使ってしまうのです。しかし村民は畑や田んぼを差し出した上、慣れない工場仕事をしたりして、その上見返りが少ない状態では納得できないのでしょう。‘これなら農業している方がましだった’と言いたくなるのです。


これからも地方都市に開発区はどんどん出来るでしょうし、企業もコスト削減の為どんどん奥地へ入っていく事でしょう。しかしこうゆう地方の開発区は常にこうゆう地元住民とのトラブルを抱え、汚職が蔓延している事を頭に入れると、どんなに優遇措置があっても、あとあと高い投資になる事はリスクとして存在しています。